BEVIのすべてのバージョンは、次の相互に関連する4つの質問項目から構成されています:
- 包括的な人口統計・背景情報に関する質問項目(プロジェクトに合わせて変更可能)
- 生い立ちまた経歴に関する質問項目
- 2つの妥当性と17の「尺度」に関する質問項目
- 3つの質的な「経験に対する内省的」質問項目
妥当性の尺度には、一貫性と適合性が含まれています。17の尺度は次の7つの領域に分類されます:
I. 妥当性の尺度 Validity Scales
一貫性 Consistency: 類似又は同一の内容を測っているが表現の異なる質問項目に対する、回答の一貫性(「人は常に変化する」、「人は実際には変わらない」など)(e.g., “People change all the time.” “People don’t really change.”)
適合性 Congruency: 統計的に推定できる回答パターンとの、回答の一致の程度(「温かさや愛情を真に欲している」、「自分の感情を深刻に受け止めている」、など) (e.g., “I have real needs for warmth and affection.” “I take my own feelings very seriously.”)
II. 形成的因子 Formative Variables
1. 人生における負の出来事 Negative Life Events: 困難な子ども時代、問題を抱えていた両親、人生における葛藤/苦闘、多くの後悔(「家族の1人または複数との衝突が多い」、「家族が金銭的な問題を抱えていた」など)(e.g., “I have had a lot of conflict with one or more members of my family.” “My family had a lot of problems with money.”)
III. 中核的欲求の充足 Fulfillment of Core Needs
2. 欲求の抑圧 Needs Closure: 不幸な生い立ち/生活史、いさかいの多い/不安定な家族構造、物事が起こる原因・状態の原因についてのステレオタイプの思考/筋が通らない説明(「素晴らしい子ども時代だった」、「他よりも運のいい数字がある」など)(e.g., “I had a wonderful childhood.” “Some numbers are luckier than others.”)
3. 欲求の充足 Needs Fulfillment: 経験・欲求・感情に対してオープン、自分・他者・より広い世界に対する気遣い/思いやり(「子どもの早期教育プログラムにもっとお金を費やすべきだ」、「自分が何者なのかを考えることが好きだ」など) (e.g., “We should spend more money on early education programs for children.” “I like to think about who I am.”)
4. アイデンティティの拡散 Identity Diffusion: アイデンティティの危機、結婚生活/家族生活についての否定的宿命論、自分や将来に対する「否定的な」感情(「つらいアイデンティティの危機を経験している」、「男性が結婚に忠実であることを期待しているが、実際はそうはならない」など) (e.g., “I have gone through a painful identity crisis.” “Even though we expect them to be, men are not really built to be faithful in marriage.”)
IV. 不均衡の許容 Tolerance of Disequilibrium
5. 基本的な開放性 Basic Openness: 基本的な思考、感情、欲求に対してオープンかつ率直(「自分というものを常に良いと思っているわけではない」、「自分の人生は孤独だと感じている」など) (e.g., “I don’t always feel good about who I am.” “I have felt lonely in my life.”)
6. 自分に対する確信 Self Certitude: 強い意志、困難に対し言い訳することが我慢できない、ポジティブ思考を強調する、深い分析を好まない(「もっと頑張れば、ほとんどの問題は克服できる」、「ルールに従ってやれば、うまくやれる」など)(e.g., “You can overcome almost any problem if you just try harder.” “If you play by the rules, you get along fine.”)
V. 批判的思考 Critical Thinking
7. 基本的な決定論 Basic Determinism: 差異/行動について簡潔な説明を好む、人は変わらない/強者が生き残ると信じている、苦労の多い生活史(「エイズは神の怒りの証だ」、「強者が生き残るのは当然だ」など) (e.g., “AIDS may well be a sign of God’s anger.” “It’s only natural that the strong will survive.”)
8. 社会・情動の理解 Socioemotional Convergence: 自己、他者、より広い世界を認識している/オープンである、思慮深く、実用主義、意思が固い、自立の必要性を認める一方で弱者を気遣うなど世界を白黒では捉えない(「不幸な人を救うためにもっと何かしなければならない」、「自分の責任を果たしていない人が多すぎる」など) (e.g., “We should do more to help those who are less fortunate.” “Too many people don’t meet their responsibilities.”)
VI. 自己の理解 Self Access
9. 身体への共鳴 Physical Resonance: 身体的欲求/感情の受容、経験主義、人間性/進化の影響を評価する(「私は自由な精神の持ち主だ」、「私の体は私の感情に敏感だ」など) (e.g., “I am a free spirit.” My body is very sensitive to what I feel.”)
10. 感情の調整 Emotional Attunement: 感情に動かされやすい、傷つきやすい、社交的、愛情を求めている、親和的、愛情表現に価値を置く、家族関係が親密(「感情を表すのは気にならない」、「弱さは美徳でありうる」など) (e.g., “I don’t mind displays of emotion.” “Weakness can be a virtue.”)
11. 自己認識 Self Awareness: 内省的、自己の複雑性を受け入れる、人の経験/状態を気遣う、難しい思考/感情を許容する(「常に自分をよりよく理解しようと努めている」、「取り組むべき課題を抱えている」など) (e.g., “I am always trying to understand myself better.” “I have problems that I need to work on.”).
12. 意味の探求 Meaning Quest: 意味を模索する、人生にバランスを求める、耐性がある/根気強い、感受性が高い、弱者への思いやり(「人生の意味についてよく考える」、「人生のバランス感覚をもっとよくしたい」など) (e.g., “I think a lot about the meaning of life.” “I want to find a better sense of balance in my life.”).
VII. 他者の理解 Other Access
13. 宗教的伝統主義 Religious Traditionalism: 宗教心があつい、自己/行動/出来事を神/霊的な力によるものと考える、「来世」を信じる(「宗教がなければ平和はないだろう」、「天国への道がある」など) (e.g., “Without religion there can be no peace.” “There is one way to heaven.”).
14. ジェンダー的伝統主義 Gender Traditionalism: 男性と女性はある型にはまるよう創られている、伝統的/単純なジェンダー観やジェンダーの役割を好む(「女性は男性より感情的だ」、「男性の役割とは、強くあることだ」など) (e.g., “Women are more emotional than men.” “A man’s role is to be strong.”).
15. 社会文化的オープン性Sociocultural Openness: 文化、経済、教育、環境、ジェンダー/国際関係、政治の分野におけるさまざまな行動、政策及び実践について進歩的/オープンである(「自分とは異なる文化を理解しようと努めるべきだ」、「わが国では、貧富の差が大きい」など) (e.g., “We should try to understand cultures that are different from our own.” “There is too big a gap between the rich and poor in our country.”).
VIII. 世界の理解 Global Access
16. 生態との共鳴 Ecological Resonance: 環境/持続可能性の問題に深く関与している。地球/自然界の将来を懸念している(「環境が心配だ」、「所有者が誰であろうとも、この土地を守らなければならない」など) (e.g., “I worry about our environment.” “We should protect the land no matter who owns it.”).
17. 世界との共鳴 Global Resonance: さまざまな個人、集団、言語、文化について学ぶこと/出会うことを努力している。グローバル社会への関与を望んでいる(「世界の出来事についてよく知っておくことが大切だ」、「自分とは大きく異なる人々の集団といることが快適だ」)(e.g., “It is important to be well informed about world events.” “I am comfortable around groups of people who are very different from me.”).
IX. 経験に対する内省的な質問項目
BEVIは、「混合メソッド」的な測定方法で、量的なもの(尺度)と質的なもの(自由回答)の双方を問い(Coates, Hanson, Samuel, Ashe, & Cozen, 2016; Cozen, Hanson, Poston, Jones, & Tabit, 2016など)、これらに基づく分析を行っています。BEVIには次の3つの質的な経験に対する内省的な質問項目が含まれており、これらにはテストの最後に記述形式で答えてもらいます。
- 国際的な学習体験の、どのような出来事・側面があなたに最も影響を与えましたか?また、それはなぜですか?
- この経験の結果、あなた自身の「自己」や「アイデンティティ」(例えば、ジェンダー、民族性、性的指向、宗教的背景、政治的背景など)が、明確になりましたか?
- 国際経験や異文化交流体験の結果、あなたは何を学びましたか?また、あなたはどのように変わりましたか?
BEVIデータの解釈には多種のレポートが利用可能で、研究者やtBEVI管理者はグループのテスト結果を様々な方法で分析することができます(グループ内の差異を含む)。もっとも単純なレポートの一例として、各尺度についてグループの事前(T1)と事後(T2)の中央値の集計例を以下に示します。