1990年代初頭から開発が始まったBEVIは、現在、世界中で15万回以上、さまざまな国や文化で実施されています。この私達の評価へのアプローチがベスト・プラクティス(https://www.intestcom.org/及びDowning & Haladyna, 1997; Geisinger, 2013; Hubley & Zumbo, 2013; Robinson, Shaver, & Wrightsman, 1991, 1999; Hanson et al., 2023; https://www.intestcom.org/; Assessment Principles and Practicesを参照)と一致するよう、継続的に多大な努力と資源が費やされています。
この点について、「唯一」の妥当性(すなわち、あるテストが、特定の文脈または文化において、測定を意図している対象を測定できているか否か)基準はありませんが、数百もの分析から、BEVIは評価しようとしている対象を実際に評価できていることが証明されています。例えば、BEVIの尺度は、GPA、学習経験への満足度、多文化・国際的プログラムへの関心、グループ内の一貫性または対立、男女関係・婚姻のダイナミックス、人生経験が情緒能力や批判的思考に対して与える影響など、様々な現象を予測しまたその過程を解明する機能を有しており、尺度がその基準また構成概念に関し妥当性を有しているという強力な証拠を示しています。さらに重要なこととして、BEVIが「表面的妥当性Face Validity」を有してないことで、BEVIが「表面上」測定を意図している対象を確認することが難しくなっています。これは回答者が社会的に望ましいとされる回答を選択するといった「予測される回答」を避けるための重要な特徴です (Shealy, 2016)。
あらゆる文化や状況において、高度の妥当性を確保するための取組みは現在も続いています。その好例の、6年に及ぶ 「フォーラム・BEVIプロジェクト」では、「20以上の出版物(論文、本の章、博士論文など)、50近くの発表(シンポジウム、論文・ポスター発表など)、そして何百もの個別分析」(Wandschneider et al., 2016, p. 418参照)を生み出しています。
BEVIの妥当性については、BEVIが集団構成員のジェンダー、民族的背景、両親の収入、政治的志向また宗教的志向といった広範な人口統計学的変数(ただしこれに限りません)について推定できることを示した多数の研究によって証明されています。(Anmuth et al., 2013; Atwood et al., 2014; Brearly et al., 2012; Hill et al., 2013; Isley et al., 1999; Hayes et al., 1999; Patel, Shealy, & De Michele, 2007; Pysarchik, Shealy, & Whalen, 2007; Shealy, 2000a, 2000b, 2004, 2005, 2006, 2012; Shealy, Bhuyan, & Sternberger, 2012; Tabit et al., 2011など)。いくつか例を挙げると、
Hayes(2001)は、福音主義キリスト教徒信者と心理療法の専門家集団との集団をBEVIで比較し、以下のように結論付けました。
このテストは、福音主義キリスト教徒信者と心理療法の専門家を、95%の精度で正確に分類でき、このことはBEVIがこれら2つの集団を正確に識別する妥当性を有していることを示している(p. 102)。
また別の研究、環境に関する信条・価値観一般と、自己申告による地球温暖化に対する懸念の相関を検討したPatel(2008)では、次のような結果が得られました。
……女性の民主党支持者かつ無神論者または不可知論者で、”need for control”(現在の「Self Certitude 自己に対する確信 」尺度)と”self access”(現在の「Self Awareness 自己認識」尺度)の度合いが低く、かつ”separation-individuation” (現在の「Identity Diffusion scale アイデンティティの拡散」尺度)も比較的低い人は、環境への関心が最も高く、一方、共和党支持者の男性かつキリスト教徒で、”need for control”と”self access”のスコアが高く、かつ”separation-individuation”も比較的高い人は、環境への関心が最も低い傾向がある……。EI理論、EIセルフまたBEVIは、どのような人が環境に懸念を有しているのかを予測また説明するとともに、信条・価値観の根底にある情動、帰属、発達また環境が、信条・価値観の形成を促進または阻害する過程を明らかにすることにより、そもそもなぜこのような信条・価値観に関するプロセスまた結果が起こるのかを予測また説明することの出来る有望な理論的枠組み、モデルまた手法を提供している。(pp. 43, 46-47)。
最後の例として、BEVIと異文化感受性発達尺度(IDI)の比較研究を行ったReisweber(2008)は、次のように結論づけています。
……BEVIが、当初より、学年末までに異文化に関する認識が高まる学生をある程度まで特定出来たたということは、説得力がありまたEIフレームワークとも一致している。特に、学年当初に”Naïve Determinism”(現在の「Basic Determinism 決定論・必然論的性向」尺度)のスコアが低く、”Gender Stereotypes”(現在の「Gender Traditionalism ジェンダー伝統主義 」尺度)スコアが高いとされた生徒は、9か月間国際的な学生寮で過ごすことで、異文化に関する関心が高まる可能性が高いということが統計的に示された。さらに、BEVIにより「Negative Life Events 人生における負の出来事」と「Emotional Attunement 情動調律」スコアが高いとされた生徒については、IDIにより測定された異文化感受性においても、高得点であることまたより正確に測定されることが証明された(pp. 79-80)。
BEVIの詳細(様々な場面や状況における様々な応用や研究など)については、次の2つが特に有効です。
1) Forum BEVI Project: Applications and Implications for International, Multicultural, and Transformative Learning(The Forum on Education Abroadの学術機関誌『Frontiers』に掲載)
2) Making Sense of Beliefs and Values: Theory, Research, and Practice(BEVIの手法やEIモデルに関するわかりやすく総合的な書籍、Amazonで入手可能)。本書の第1章はSpringer Publishingのウェブサイトからアクセスすることができます。